[コメント] クラッシュ(2005/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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2005年アカデミー作品賞・脚本賞・編集賞作品だそうだ。人種差別を根底のテーマに、アメリカ社会へ自発信された映画ということらしいので、リアルな米社会生活の実体験がない自分は作品の良し悪しを言える立場ではないのだろうが、どうしても肯定的な評価をできない映画である。
登場人物たちの起こすエピソードは、人種間の差別や偏見が引き起こしているのではなく、それぞれの個人の持つ単なるキャラクター、つまり性格によるものに過ぎない気がしてならない。やさしい人、強い人、情け深い人、頑なな人、ヒステリックな人、威張る人、温厚な人、冷静な人、ひたむきな人、堕落した人、小心者…などなど複合的に様々な性格をもつ登場人物が出てくるが、結局作り手がどのキャラをどの人種でキャスティングしたか、が一番問題視すべく差別偏見精神を露呈してしまっているというパラドクスに気づくべきだ。
まあそれはよい。作品としては超緻密にぬかりなく丁寧に作られた映画である。そういう意味では評価に値する。出すぎず、また遠慮もせず、奇をてらわず、しかし飽きさせない。深くは感情移入させない手法も、美男美女を登場させないところも、計算しつくされた狙いと構成で脱帽ものです。しかしなんともまあ、観始めて10分ほどで、描かれる人間のぎすぎすさで胸苦しくストレスがたまり始め絶望的な気分に陥る。
これを観た人たちはこの映画からいったい何を得ればよいのだろう…。やっぱり好きにはなれない映画です。
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