[コメント] サイレン(2006/日)
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って、早速ですけど、これ『箪笥』じゃん。 でもまだ『箪笥』の方がラストについては納得できたようなもの。 総合評価はどっちも似たようなもんだけど。
あんたねぇ、“全部幻覚でした!”ってラストに持ってくれば、正直どんな話だって成り立つんだよ。途中どんな伏線があったって“あれも全部幻覚だったから”とか言っちゃえば、一応説明ついちゃうじゃん。そんなラストつけたくてこれ作ったの?だったら、堤幸彦という人間の力量を疑いたくなる。
途中の変な儀式や、“DOG”は“GOD”で“LIVE”は“EVIL”とか、全編に渡って象徴的に使われている赤色なんか、確実に物語を面白くする要素であって、これが最後に上手い事収束すれば、これはかなりいい作品になったんじゃないかと思うわけです。 だって、これ全部きれいに説明できなけりゃ、前者は『シャイニング』のパクリだし、後者は『シックスセンス』のパクリじゃん。それやりたかっただけ?って、それで終わっちゃいますよ。いや、事実終わっちゃったんだけど。自分の首絞めちゃいましたね。
こういうラストにするなら、こういうラストにするで、もっといい途中経過は確実にあったはずなんですよ。さっき引き合いに出した『箪笥』もそうだったんですけど、この伏線だったら、ラストは“医学的にほぼ説明がつく”んじゃ、観てる方は怖がった事がバカらしくなっちゃいますよ。やっぱり、当然の事とは思うんですが“超常現象”であった方が何倍も怖いんです。
私としては、前半までの展開は非常に良かったと思うんですよね。この映画の売りであろうサウンドを共としたショックシーンは、いやらしすぎる感じがなくて洗練されていたんじゃないかなと結構感心したりしてました。島の雰囲気も良かったし。
なのに、このラストでは……。堤幸彦って人は、人の持ってる小さなツボをピンポイントで刺激してくるような監督だと思ってたんで、こんなに大幅にツボを外されると二重にがっくり。
今更言ったってしょうがないけど、あの赤いずきんの女なんだったんだよ!お父さんが後半おかしな感じになってたのも幻覚?(随分緻密な幻覚だな)、犬は誰が殺したの?結局あの変な儀式の意味は?崇拝してる神がおかしいよ!(かなり主観)松尾スズキは?島民が売り場から全員いなくなってたのは?……全然説明ついてねぇ……。
あと、阿部ちゃんは何となくトリックのついでに引っ張ってきてような、大した事ない扱いでしたね。
要素がいいだけに、残念でした。とりあえず、堤監督にはトリックの続編を頑張ってくれる事を祈ります。
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