もちろん原作が。脚本家は苦労してまとめたのだろう。

バキュームカーとか屑拾いとか、３Ｋ（なんて言葉は当時なかった）職場を記録して貴重だし好感が持てる。彼等を救済しようという話も素敵なのだが、自滅してしまう（特に屑拾いの小沢昭一）のは野坂調かも知れんがちと切ない。この初期設定をもっと掘り下げてほしかった。ケースとか釜ヶ崎とか炭坑とかリサイクルとか、ぶち込み過ぎだろう。生活保護拒否するミヤコ蝶々ももう少し観たかったし。

田坂具隆遺作。撮影・美術とも当時の松竹喜劇タッチで、監督好みとはほど遠いものだっただろう。それでも廃坑のボタ山などいい感じで撮れているし、中盤の放置された象の件など森崎好みだが、不思議な感じが出ていて好ましい。しかしやっぱり上手いのは、一家心中する宮本信子と乞われて寝る露口茂のウェットな描写で、この件が遺作に相応しい。