[コメント] ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「ハリー・ポッター」シリーズは説明口調が多すぎて一作目はなかなかなじめなかったが、この「ナルニア国物語」シリーズ一作目は完全に原作未読派を置いてけぼりだった。
オープニングは唐突に謎の空襲から始まり、兄弟達四人の人間性すら掴めないままわけの分からない家に疎開し、「廊下を走るな」という家主の命令も無視し唐突にかくれんぼを開始し、謎の空部屋の謎の洋服ダンスの中からわけの分からない森に迷い込む。一番年下の妹は、フォーンやドワーフやミノタウロスが一体どういう種族なのか?ナルニアとはどういう世界なのか?タムナスの歌った子守歌は一体何の意味があるのか?魔法とは何なのか?白い魔女は何者なのか?…などを一切不思議がる事無く、全てを理解した状態でトントン拍子に進んでいく。
妹の後を追いかけて来た兄達は目の前の情景に一瞬戸惑いを見せるものの、この妹の一言であっさり納得し探検開始。味方なのか敵なのか区別もつかない様な獣がじゃんじゃん登場し、誰が言い出したのかも分からないご都合展開(=予言)のせいで、兄弟四人は戦いに巻き込まれてゆくはめに。 便利グッズを渡してさっさと去っていってしまう意味不明なサンタクロースや、「国中の者が苦しんでる時に今まで何で現れなかったんだ」と誰にも突っ込まれないライオン・アスランなど、いかにも胡散臭い者達の助けを借り、戦争に突入する。
一度殺されたのに何故か復活したアスラン。そして「魔女」と呼ばれてるくせに肝心な時に魔法を発動せず、剣vs剣のチャンバラ肉弾戦。つい最近剣を覚え立ての子供に意外にも苦戦する魔女。そして最後は不意打ちで飛びかかってきたライオンにあっさりやられ、ジ・エンド。
・・・・なんでやねんな(;´Д`)
まあそういった意味不明さとご都合展開で進んでいくのはこの映画に限った事じゃないので置いとくとして、一番引っ掛かったのは、アスラン視点から見れば魔女は「悪」なのだろうけど、魔女視点から見ればアスランの方が「悪」に見えてしまう点かな。
アスランサイドは「悪い奴をやっつけて国を取り戻すんだ」という目的では無く、「自分達がナルニア国を支配したいんだ」という自己中心的な欲求、いわば国盗り合戦に走っていたため、味方側に感情移入しにくいんだな。源氏と平家の様なもの。どっちもやってる事は本質的には同じなわけで。
「魔女がむやみやたらに人殺しを続けていて、それを倒すために立ち上がる」 という目的ならば理解出来る。だからアスラン側を正義としたいなら、魔女のそういった残虐さ、悪の生い立ちから目的に至るまでをもっと緻密に描くべきだったんじゃないだろうか。
魔女は自分のやり方で国を支配したいわけだから、自分に刃向かう者はそりゃあ殺しにかかるだろうよ。しかし戦争が始まるまで、反逆者は殺すわけじゃなくて、魔法をかけて凍り付かせていた。彼らはアスランの一舐めで元通りに戻せる。だったら魔女ってそんな悪い人物でも無いんじゃないか(笑)
話し合いにはちゃんと冷静に応じるし、魔女を下手に「いい人」っぽく描いてしまった所が最大の失敗だったのかも知れない。
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