[コメント] ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!(2005/英=米)
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イギリスのクレイアニメの老舗アードマン社の人気シリーズをドリーム・ワークスとの提携で作り上げた劇場用長編作品。見事2005年の長編アニメ部門でオスカーを得た。 今年のアカデミーは『宇宙戦争』や『キング・コング』と言ったディジタル映像大流行の年だったが、意外なことにアニメーションでは『ハウルの動く城』(2004)を除けば『ティム・バートンのコープス・ブライド』と本作という、いわばローテクのクレイ・アニメーション二作がノミネートという面白い年になった。クレイ・アニメーションはとにかく手がかかるが、一方でその味わいは他に代え難い暖かみがあって、その努力が認められたと言うことだろう。ドリーム・ワークスも時に味なことをしてくれる。観てる側としても満足。
本作はやはり演出が飛び抜けて良い。クレイアニメだからこそ出来る(そして許される)演出が目白押しで、ウォレスとグルミットの出撃シーンなんかはまさに『サンダーバード』そのまんまで、流石に味わいが違う。
本作は元々が短編アニメで、小ネタを一発やって、それを楽しむべき作品だったと思うが、長編になったらなったで、ちゃんとドラマ性も心理描写もあり。トータルバランスも良い。
互いに文句ばっかり言ってるようだけど、いざというときになったらウォレスもグルミットも相手を信用しきっている描写があるのもベタながら良し。
ただ、ちょっとだけ難を言わせてもらうと、本来のシリーズにあった「やられる人間はやられっぱなし」という、ややシニカルに偏っていた笑いがかなりマイルドになり、その分、純粋に子供向きの作品になってしまったような印象があり。ウォレスとグルミットの努力はきちんと酬われているというのがちょっと残念。毒気が足りなかった。この辺がアードマンとドリーム・ワークスの意識の違いって事なんだろうか?そう言えば『チキンラン』(2000)でも同じようなもどかしい思いにさせられたな。
あともう一つ残念だったのは近場では吹き替え版のみだったこと。言葉遊びが醍醐味なのに、それが薄まりすぎてる。欽ちゃんは意外にはまってたのは確かだが。
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