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[コメント] うつせみ(2004/韓国=日)

平凡ではない、外れた人生を送っている普通じゃない「普通の人」が、自然に生きていくために選んだ、極端な道。ネタとしてはごくごくいつものキム・ギドク。今回、えげつなさはサイドに向けられ、ハッピー?なうちに終わる。
SUM

うつせみはうつせみでも、空蝉ではなく現身の方だという意見もちらほら見かける。なるほど。パンフでは「現身」には触れていないが、あえてひらがなのタイトルにしたわけだし、そうかもしれない。

キム・ギドクの世界 野生もしくは贖罪の山羊』の、キム・ギドクと評論家チョン・ソンイルとの間のインタビューでは、存在自体が幻想、イ・スンヨンジェヒの両方にとって、相手の存在が幻想でもあるのだというイメージが語られる。最後の字幕はそうかもしれない。この字幕は蛇足とも思えるのだが、この字幕は、なんと監督によるとむしろ解釈を観客にゆだねるために入れたのだと。この辺りはむしろ、映画理論の人ではない、ただ不器用に表現する手段がたまたま「映画」となった、孤高の作家らしいというか。

さて、彼にしてはずいぶん、暖かいとも言える本作。イノセントなジェヒの危険さは、偶然のいたずらを通して遠くの人に向けられる。決して「無垢」にはなりきれないけれど、「目を背けたくなる」度は低く、垣根が下がった映画とも言われるが、 「韓国の観客は感動や涙でストレスを発散しようとするから、僕の作風とは合わない。韓流映画とみなされては困る。でも、何かの勘違いでもいいからヨン様ファンも見に来てくれれば。」(朝日 2006/2/14 http://www.asahi.com/culture/movie/TKY200602140277.html)ってさすがにそれはかわいそうだ。

(評価:★4)

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