[コメント] レオポルド・ブルームへの手紙(2002/英=米)
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スターキャストなので文句を言いながらも観られる。"純粋"という役柄を演じようとすると無口で不器用というのがアメリカではステレオタイプなのか、主人公演じるファインズの役づくりが『16歳の合衆国』の主人公( ライアン・ゴスリング)に、そっくりでデジャヴ。
舞台は2つの時代の交差がメインに描かれ,それぞれに役者たちが好演しているが、どちらの時代も女優たちが良い。 70年代の大学教授の妻を演じるシューのストレスを抱えた妻から、アルコール中毒の母への転落ぶりは見応えある。 典型的なアメリカンで誠実そうなルックスのシューが演じるからこそ、豹変ぶりが胸に突き刺さりリアル。 セクシャルで華やかなシャロン・ストーンとか可愛いことに執着するメグ・ライアンとかじゃ駄目なのである。
現代の方の、現実に無気力にウェイトレスを演じるアンガーも登場しただけでシーンをさらってしまう存在感。 倦怠感と悲壮感が全体から発散され、非常に絵になっている。ホッパーに冷蔵庫の上でセクハラを受ける場面も彼女だからこそ奇異に映らず様になっていた。
アメリカ人の大好きなシェパードはドラッグ中毒だし、優しさに満ちあふれているわけではないけれど、頭が良く、人としての道理を持ち合わせた現実的なヒーローをさらりと好演。
そんな人々の描写は、興味深かったりするのだが物語はスポットをレオ少年と、スティーブンの繋がりに執着しだす。 で、この二人が同一人物だということには中盤までには誰でも気が付くと思われる。…。そーなると後半からラストの展開が、強引かつ凡庸な終わりに感じてしまう。 ユリシーズをベースに描いたようだが、これは素直に主人公の過去から現在のストーリーを描くだけにして過去の少年と現代の自分との手紙云々は丸ごとカットで良かったと思う。
乾いた現代アメリカの青年の人生物語で終わっていればスッキリしたが、最終的に変に純粋さや物語性を創ろうとしてる姿勢が鼻につき★2つ。
シューの妹役でメアリー・スチュアート・マスターソンが脇役でちょこっと出てくるが、声にしても存在感があり、懐かしさに胸いっぱい。
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