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[コメント] 大統領の陰謀(1976/米)

やっちゃいけないのは分かってるけど、盗聴って割と日常にあったりします…と思う私が病んでるのか?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 アメリカを震撼させたウォーターゲート事件は、実はマスコミの活躍によってこれだけの大スクープへとなった。その事件を立証する立役者となったのがこの事件をスクープしたワシントン・ポストであり、その記者ボブ=ウッドワードとカール=バーンスタインの二人だった。確かに多少の美化はあるかも知れないけど、マスコミの正義と、真実を追究する姿勢はとても重要なものであることを改めて印象づけてくれた。

 ところで、この盗聴事件という奴だが、実は結構身近にあったりもする。

 細かいことは言わないが、かつて私が勤めていた会社でもあったし、今の仕事でもどこぞの支所で盗聴事件があった。と言うことは聞き及んでいたりする(大学在学中からこれまでに身の回りの盗聴事件を聞いたのは3回もあり)。全て私自身が関わったことではないんだが、私如きでこれだけ盗聴事件のことを聞くくらいだから、政治の世界あたりになると、盗聴くらい何の罪の意識も無しに行われているんじゃ無かろうか?とも思えていたりする。特に今は割と簡単に個人レベルで盗聴器くらいは手にはいる訳だし、政治では相手の陣営の情報を得る事は必須条件だし。

 そういう風に考えてみると、ひょっとしてこの事件というのは、政治家が当たり前に考えてきたことが、どれだけ大きな影響を与えたか。と言う事なのかも知れない…ここまで書いておいて何だが、ひょっとして私って危機管理が低すぎるんじゃ無かろうか?

 ただ、本作の場合はそう言う政治絡みのことを抜きにしても、物語単体として充分面白く作られていて、ドキュメンタリー・タッチでありながら、二人の主人公の周囲に起こる不愉快な出来事や危機感もあるし、「ディープ・スロート」と名付けられた情報提供者が登場するなど、ポリティカル・スリラーの手法も用いられている。良く練り込んだ物語であることは分かる。

 特に白眉はラストシーンだろう。これまでの努力が政治的圧力によって封じられたウッドワードとバーンスタインがやったことは、映画の中では一見徒労のようにさえ見られてしまうのだが、観ている側は実際に起こった事件の顛末を知っているので、あれが虚しいものには全く見えない。完全な意味でハッピー・エンドにしなくても充分に伝わってくるラストだったのは確か。はっきり言えば、ラストのこの映画の後で起こる事が綴られていく字幕さえも本来は不必要だったんじゃなかっただろうかと思えるほど。

(評価:★4)

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