[コメント] タイタニック(1997/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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誰かの死によって主人公が成長するという物語類型は男性を主人公とした場合数多に存在する。これは単にそれを男女逆にした映画だ。するとどうだろう。まるで説得力が無いではないか。なぜか。そもそも誰かの死による成長物語は極めて暴力的なのだ。成長のダシに殺されたのではたまったもんじゃない。そういう意味でこの物語類型を使った時点でかなり苦しい展開になるに決まっている。
しかし思い出してほしい。ターミネーターはタイタニックとまったく同じ話である。運命を変える男性が現れてその死を乗り越えて成長していく。サラ・コナーとカイル・リースの物語と一緒ではないか。何が違うのか。カイル・リースはサラ・コナーを愛する必然性があり、ジャックがローズを愛する(それにしても安易な名前だな)必然性がまるで無いのだ。別にローズが魅力的でないとかそういう話ではない。俳優はよくやっている。脚本が悪い。
そうするとジャックが死ぬ場面でジャックに同情してしまう。好きになる必要の無い相手を好きになってその人のために死んでしまう。しかもディカプリオがだ。これを素晴らしい蕩尽だと感じるのならば感動できるだろう。私には無理だ。ジャックが可愛そうだ。
しかし言っておかなければならないことは男女を逆にしたタイタニックは無数にある。それを許容してこの映画のジャックの死を批判するのは矛盾なのだ。
ところでこの映画の様々なスペクタルはとても好きなのだ。あの流氷にぶつかるシーンや船体が真っ二つになる場面などは本当に面白いと思う。あの演奏者たちも良い。
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