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[コメント] やわらかい生活(2005/日)

実質的には退屈な作品なんですが、それなりに考えさせられる部分もありました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この作品は年代が特定されていないが、おそらくは90年代初頭か半ば。バブルが去った時代の物語かと思われる。この時代は色々な意味で時代の転換点にあるが、特に人間の精神への理解という意味では大きな進歩を遂げた時代でもある(それが良い意味であれ悪い意味であれ)。

 本作は話そのものは実はかなり退屈だし、物語性も低いのだが、そう言う精神的な病が少しずつ理解されていく過程の物語として見ることは出来る。

 それが表面化しているかどうかの差だけで、誰もが精神的な痛みを持つと言われている。ただ、世界の大半の人は表面化するほどきつくはなく、それとつき合う術を知っているし、もし表面化することがあっても、時が経過するにつれ、落ち着くことの方が多い。

 しかし、時としてこう言った精神的な混乱が修正できない人というのも確かにいる。いくら自分で押さえようとしても、無理な人も。これは純粋な意味で病気と言ってしまって良い。

 かつてこういうのは病気とは見られず、「根性がない」とか「甘えだ」とか言われていた。「健全な魂は健全な肉体に宿る」は日本においても大変愛された言葉でもあるから。

 本作は、ようやくそれを「病気」として見られるようになってきた頃の物語で、病を患う人と周囲の交流が綴られていく。当然それを認識してない人との間には温度差があるし、逆にいきすぎた思いやりが当人を傷つけていくこともある。そう言ったことも含めてできるだけリアルに描かれていくことになる。特に家族や親類とかは、こう言う時、思い遣りのあると自分では思っている言葉で平気で人を傷つけることがある。距離感のある近しい関係が一番癒される事がだんだんと分かってくる、その過程として捉えられるだろう。

 その意味ではやや変則的だが、「愛と死の記録」の現代版であり、自分にも起こり得る、リアリティを持った話として観るべきなのかもしれない。

 話に起伏があまりないため、少々退屈な感はあるが、等身大の大人の女性をしっかり描いた作品として評価されるべきであろう。自分の中にも確かにこう言う面があるのは見たくない部分であるのもあったりするが。

(評価:★3)

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