コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 風の中の牝鶏(1948/日)

確かに監督特有の映像表現を用いて、監督以外作ることが出来ないような作品であるのは確かなんですが、こんな事も出来るんだよ。と言う監督の意地として観るべき作品なのかも知れません。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 監督の作品というと、戦前のモッダーンな雰囲気を持つ作品、戦後の古き良き日本人の感性と現代的価値観のぶつかり合い、と言ったものが思い浮かぶが、その中で本作は、こう言って良ければ監督の異端的作品だと言える(監督自身が「失敗作」と言っている位)。

 戦前ヤクザの映画を作っていても、直接的な暴力シーンは出てこないのだが(勿論戦後の代表作品では皆無)、本作は夫が妻を殴るというやるせない雰囲気を強く出していた。どろどろした人間関係と、一度の過ちに対しこだわる夫婦。生真面目で信頼関係が厚かった分、互いが互いを許せなくなり、自分自身をも許せなくなってしまう。真面目な人間ってのは、融通が利かないから。危機なんてどこにでも転がってるもんだ。

 何にせよ、色々な意味で観ててかなり辛い思いをする作品だ。

 そうそう。あんまり出てくるわけじゃないけど、笠智衆が既にこの時には(44歳)既に枯れた演技を出していたので、それがなかなか味わい深い。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)TOMIMORI[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。