[コメント] 水霊 ミズチ(2006/日)
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死に水は黄泉の国と繋がっている、という設定なのだが、この扱いがとても子供っぽい。死ぬのは厭だ厭だ厭だと全身で拒否する女子高生への、髪の毛抜いてみたり記憶を失わせてみたりの美女イジメは怨念めいている。年取ったらこんなの日常なのになあと思う。そして死ぬのはそんなに厭でなくなり、黄泉の国との通路があるならそれは結構だと思い出すものだ。そういう複眼的な視点が本作には皆無であり、子供っぽいと思うばかり。ホラー全般そんなものなんだろうが。
同様に、失明の主題に『春琴抄』の深さはなくただ見たくないものを見ないというだけの説明は下らない。そしてその描写はエグい。星井七瀬って『シムソンズ』に出ていた可愛い娘が、こんな役振られるのは芸能界の貧困を介間見せられるようだ。 恐怖はなくただ厭な描写が続く。劇伴はワンパターン。データベース課にしかパソコンがない新聞社などの考証はこの時代すでにあり得ない。謎解きはここまでの描写を並べただけのお手軽でしかないし、ホンは水道水と地下水の差異が整理されていないのではないか。
こんな具合で終盤の入口まではまあ安物というだけなのだが、収束はひど過ぎる。果たされなかった夫婦愛という、どうでもいいような終盤の纏めの急浮上に、イマイチだと思ったのかラストで赤ん坊を使うのはさすがに噴飯もの。世間一般で通用しないようなエグい描写が、変態さんのためにジャンル映画の内部で生息しているのを発見する驚きがあった。
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