[コメント] キートンの麦酒王(1933/米)
キートンが「100%純正のクズ」と評価するだけあって、確かに行き当たりばったりな出来。ただクズとするのは、実際にアル中になりかけていた当時のキートン自身の背景があるのだろう。禁酒法への皮肉や直球のギャグはそこそこ楽しいかな
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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バスター・キートンがMGMで主演した作品では最後となる。このMGM主演ラスト3本ではジミー・デュランテとW主演のような形になっている。デュランテは舞台出身の喜劇役者で視覚的ギャグよりもおしゃべりを得意にしている(ピアノも得意)。『歌劇王』では彼の存在がストーリー、そしてキートンを引き立てていた。言わば「おしゃべりのデュランテ」と「動きのキートン」という訳である。
ただこの『麦酒王』は2人のバランスがどうもチグハグだ。ギャグそのものに爆発力がなかったからか、デュランテのおしゃべりばかりが目立ち、キートンの存在が薄れてしまっているのだ。マフィアが絡んでくる脚本もいまいちピンとこない(禁酒法時代にはマフィアが牛耳っていた歴史的背景があるのにね)。全体的に「凡作」は否めないかな。
面白かった箇所を挙げるとすれば、「泡との格闘」「トラックから転げ落ちる樽とキートン(『セブンチャンス』のパロディみたいだ)」「樽に入ったキートン…」くらいか。工場に押し寄せる群集や、「ビールうまいぜ!」と言わんばかりのデュランテの表情で締め括るラストも、禁酒法への皮肉っぽくて好き。
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