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[コメント] ワールド・トレード・センター(2006/米)

オリヴァー=ストーンはここぞとばかりに魅せる。「俺は愛国者なんだ。俺こそは愛国者なんだ」と。悪い意味で彼は政治的な作品しか撮れない監督だった。☆3.1点。
死ぬまでシネマ

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駄目押しのように「海兵隊員」が現れる。本当にあんな野郎がいたのか? 教会で啓示を受け、夜間の捜索中断を無視して勝手に侵入し結果として救世主となる一方の英雄。息つく暇も無く「今度は戦争だ」と新たな戦いの地へ。いねぇだろ。仮にそれらしいのが居たとしてもどう描くかは監督次第だ。

しかしあの海兵隊員以前に、この極限状況を政治的にしか描けない視点には、絶望的な限界を感じる。救急隊員は兵士ではない。彼らは災害救助が仕事なのだ、本来救助者にとって人間の「敵」など居ないのだ。極限を描くという点で『運命を分けたザイル』に遠く及ばないし、いや、あの映画の描き出した視点でこそ本来語られるべきだったのだ。未曾有のビル崩落災害で2次災害に遭い「人間の極限」を強いられる事になった2人の救命士と描き、その上でそれが「人の手」による所業である事を示せたなら、人類全体へのメッセージをこめる事が可能になっただろう。俺が思うに、オリヴァー=ストーンは人類全体にメッセージを送る事を自ら放棄したのだ。

訂正:警官だったっけ。しかしそれは本質ではない事は解って下さい。

(評価:★3)

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