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[コメント] 紀子の食卓(2005/日)

製作順に、前のテーマや映像を使いまわしているのは、作家性がやや強く出すぎていて、自主映画時代を思わす。製作順では無く、新しい方から先に見ちゃうと、まだ未整理の古い方が面白味に欠ける印象を受ける。という訳で『愛のむきだし』のがお勧め。091123
しど

自殺サークル』で使っていた映像をそのままこっちにも使ってたり、監督自身の興味やテーマの掘り下げなどが、作品製作の時系列に沿って形成されているので、後の作品から見てしまうと、どうしても古い方の魅力が薄れてしまう。

多作な監督なので全てを見ている訳ではなく、ここ数年では、『自殺サークル』、『愛のむきだし』、『エクステ』、『紀子の食卓』という順番で見た。見ていない作品にも、派生した要素がいろいろあるのかもしれないが、『自殺サークル』から『愛のむきだし』には、人間の関係性がテーマとして太い脈で繋がっていて、『紀子の食卓』は、ちょうどその間にぴったり入る。

園作品の特徴として、散文詩的にエピソードと映像と言葉を連ねていく過剰は、この作品のモノローグに特に顕著だけど、今回、同日に今作と『エクステ』を見ていて感じたのは、女優達の表情が生き生きしていること。笑顔が本当に「笑顔」で、見ていてホッとする。現場の雰囲気が良いのか、演出技術なのかはわからないが、非常にリラックスしているように見える。

また、女優の魅力を引き出すのが非常に上手い。女性の描写が、岩井俊二なら処女性をピュアに表現するが、園は大人の女が秘める少女性をエロチックに表現する。無邪気な仕草の吹石の下着姿の胸の谷間にホクロをみつけたときは、リアルな肉体臭を覚えた。

言葉や映像で巧みに誤魔化しているが、根は単なるエロオヤジなんじゃないかと、監督を思う。

(評価:★3)

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