[コメント] 新・平家物語(1955/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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都大路に神輿を担いだ僧兵がグヮ―! 市の人々がギャ―! 比叡山からもドバー! 観るのは二度目ですが、やっぱり凄い。
市川雷蔵(清盛)が良いなぁ。眉毛が可愛い。暗い出生の秘密に悩まされながらも新しい時代を逞しく生きようとする青年清盛を見事に演じ切っています。
木暮実千代(泰子、祇園女御)も良いんだってば。白河上皇の寵を受けた白拍子で、忠盛の妻、返り咲いて白拍子の元締め。品性だとか優美さだとか求めるのは間違ってるんだもん。
クガ美子(時子)って純粋なお姫様よりこういう強い役の方が合ってるんじゃないでしょうか(コガ侯爵家令嬢なのに)。
大矢市次郎(忠盛)、進藤英太郎(伴卜)が大人の世界をきっちり見せてくれるし、林成年(藤原忠時)が若々しいし、シッポまで餡の詰まったというよりシッポのカリカリが嬉しいタイ焼のような名演。
中村玉緒(藤原滋子、忠時の妹)ってどこで出てました?
吉川英治の原作(読んでませんが)から清盛の青年期のみを切り取ったところが素晴らしい。 日本史上の最も大きな分岐点を挙げろと言われれば、私は迷うこと無くこの時期を挙げます。「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」じゃなくて「いい身に(1132)なったねぇ忠盛昇殿」と覚えましょう。何じゃそりゃ。とにかく新時代の胎動が清々しい名作。
映画で時代考証を言い出したのって溝口健二が最初なんでしょうか? 木暮実千代のトップレスや、牛車の停め方など、気になることもあるんですが概ねよく研究されてます。
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