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[コメント] 夜のピクニック(2006/日)

あまりに原作が読まれ過ぎていると、映像作家の個性に悪影響があるかも、と感じた。長澤監督にしては、詰め込み過ぎで消化不良。
ありたかずひろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







相変わらずうまい! と思う部分と なんか変だよ? と感じる部分がまぁまぁ相殺

しあっての4点です。

この監督さん、どの作品でも空を上手に撮ります。そこはホント秀逸。

反面、今作は 音楽のチョイスがいただけなかった。 また、他の方も書かれてましたが

パロディで 「プラ○ーン」や「地獄の〜」 は趣味悪いです。

それと、申し訳ないが 役者さんのキャスティングはもう少し、広く選択範囲を持たれた

ほうが良い気がします。 石田・郭・柄本 くんあたりはバッチシでしたが・・・。

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・・・・・・・・・さて、けなすだけけなしといて 、と。

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原作未読の私ですが、

“一昼夜歩きとおした高校生の 成長の記録”

という物語の筋で、はたして長澤監督は、演者のどこに焦点を当てるべきか、良く理解

してらっしゃったと思います。前半でこそ 「こんな距離やだ」「ありえない行事」 と

グチる場面は出てきますが、80kmを歩くという パワーを燃やし尽くして彼らが得る

力は 「体力」では決してありません。

それは、「未来へ向かう力」であったり「人の気持ちを理解する力」 といった人間の

内面を劇的に変えてくれる経験なのです。

だからこそ、こんなに壮大で大勢による “ピクニック” 、という絶好の素材を前にして、

監督はほとんどロングショットは撮らずに、悩み進む少年達を大きくスクリーンに映す

ことを最後まで貫いています。そこは立派だし、高いセンスが感じられます。

_

もし、この原作があまり有名でなければ、そしてそれによって映画製作が縛られている

部分がもっと少なければ、珠玉の映像物語に仕上がったコトでしょう。

これだけ詰め込まざるを得なかったら、そりゃちょっとは蛇足も出ますって。

よって、長澤監督の評価は 僕の中ではまだまだ “5点” の高止まりです。

                              2011.1.31 鑑賞

(評価:★4)

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