[コメント] エコール(2004/ベルギー=仏=英=日)
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ロリ系だとか幼少ポルノだとか、かなりきわどい噂を聞いていたんで覚悟して観たんですが、思い切り肩透かしを食らった気分です。
監督は女性だと聞きましたが、多分この人の中にはフェティシズムというものは存在しないんだと思います。例えば棺の中から現れる裸の幼女。それは単なる「棺」「幼女」「裸体」という記号的要素を集めただけであり、その周りに集まる少女たちも「純白」「制服」「ソックス」「リボン」とかその程度の記号的要素を持っているだけ。それらは単に形式ばったエレメントの集合体というだけで、ステレオタイプも甚だしいと感じました。要は変態臭のするキーワードの寄せ集めにすぎず、そこに感情を持った人間の「目線」というものは存在していないのです。ローアングルで少女たちの下半身を撮るという事や極端にスカートを短くする事がその「目線」だと思っているのなら、この監督こそが真のイノセンスだと思います。絶対領域を見てみろよと。露出の少なさからくる危うさというものを見てみろよと。何も分かっちゃいないんだろうね、この監督は。
だから彼女なりの「目線」からは変態的要素も偏愛的要素もアート的要素すら感じ取る事は出来なかったし、逆にどことなく鼻につくし、同時にあざとさも感じたというのが事実です。こんな程度でビザール気取られてもなぁ…といった感じ。変態目線で言えばルコント作品の方がよっぽど危ないわ!と思いました。
ただ、ラストシーンだけはちょっとドキドキした。噴水の奥にチラと見えた青年の裸体に、正直私はビクっとしました。表情は隠れてよく見えないのに、青年がこの瞬間何を感じ、何を思ったかという事を動物的なところで察知してしまったという感じ。そんな青年を見て笑ったビアンカが、この映画通して一番エロかったと思います。こういう危うさや脆さを全編通して感じていたかったです。
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08.02.29 記
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