[コメント] 稲妻(1967/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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中小企業は駄目だねえという望月優子の科白は全体を俯瞰している訳で、倍賞が会社員という設定(凸ちゃんはバスガイドだった)で強調されるのは、商売人の世界は駄目だねえという諦念のように見える。
俳優は適材適所で、もっぱら俳優に語らせており、清潔な倍賞がはじき出されるのは当然と思わせられる。全編で災難続きの浜木綿子の方を持つラストは、ナルセ版の切れ味はないが、これはこれで物語全体を見れば周到だろう。生臭い藤田まことはさすがの好演、ダメダメな長男柳沢真一も印象深く、尺がもっとあれば追いかけてほしかったこころ。密やかな音楽が好ましく、妾の処に行く件でキャメラが突然仰角になるのがいい。
脚本上のナルセ版との差異は、美点はもう稲垣美穂子と浜とのド突き合い。三姉妹を均等に描こうとした本作と、これを略して凸ちゃんに的を絞ったナルセということで、どちらが良いというものではないが、ド突き合い自体が名シーンである。凸ちゃんにはあった根上淳との恋の予感などが倍賞には全く与えられていないのは、これはこれでハードでいい。欠点は凸ちゃんが次女の亭主の浮気を偶然見かけた件が本作では欠けていることで、これは当然あったほうが盛り上がる。
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