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[コメント] トゥモロー・ワールド(2006/米)

この映画、説明不足であること甚だしい。それを受け入れるか、受け入れないかで観客を選別しているようにも思う。私はと言えば、正直あんまし、この映画の世界感には入りきれなかった。
ロープブレーク

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







子どもが生まれなくなって久しい近未来の世界で、世界は次々崩壊し、英国だけがなんとか国家の体を保っているという設定が、「BCC」ニュースで語られる。

何で英国だけとか、子どもが生まれなくなることと世界の崩壊との関係とかは一切説明がされない所与の条件としてこの映画は進んでいく。

画面は緩急があって引きつけられる。理性はクエスチョンを抱えたままで、生理は没入感を楽しんでいる。こういう分裂状態を観客に強いる。最後までそうなので、この分裂状態を噛みしめよ、居心地の悪さを味わえ、というのがこの映画の主題なのだろう。それはいい。現実社会の風刺として機能するからね。目先の快楽や課題をこなすのに追われる毎日でも、本来はこの分裂状態を忘れちゃいけないんだぞ、という警告は理解できる。

ただ、映画として面白いかと言えば、そうでもなかった。

それはそうだ。映画の楽しみは没入してこそだ。ところが、分裂感を味わっていたら没入に没頭できないもんね。映画の世界に入ったり出たりピストン運動だ。

そうこうしているうちに子どもが誕生(誕生シーンの絵作りはとても素晴らしい。CGの進歩に驚愕した)。

女の子ってことで、どうしてもあのお方を思い起こさせる。そう、神の独り子、ジーザス・クライストまたはイエス・キリストまたはイイスス・ハリストスたるあのお方だ。

人類にとって、女の子の誕生は福音だ。だって、男の子が生まれてきたって、その子が男になる頃には、世界の女子はもう女子を卒業してしまっている。つまり、生殖できないことに変わりない。女の子万歳、ハレルヤ。

では、なぜ神の独り子は男の子だったのだろう。

なんてことを考え始めたときに、画面にルノー・アヴァンタイムが現れた。反政府組織フィッシュはなんでまたこんなマイナーなクルマを持っているんだ。隠密行動を取る組織が目立ってしょうがないじゃん、足もすぐ付いちゃうだろうし。アジトには、三菱ショーグン(パジェロの輸出名)だ。イギリスでテロ起こすなら日産車じゃないの?こいつら揃ってカー・ガイだな。

デモ隊は三色旗掲げてるし。うーむ、細部に考えがあるのかないのか。結局、思考が宙づりのままエンドクレジット。母娘がんばれ。そういう感想で終わってしまった。

[余談] 「なぜ神の独り子は男の子だったのだろう。」って考えが浮かんだところで、脳内音楽に「プエルトリコのひとりっ子」が勝手に流れ始めた。いや、クリムゾンもピンクフロイドも大好きなんですけど、この映画での引用は牽強付会というかちょっと違うんじゃないというか。

でも考えてみれば、母親になったカラードの女の子は、流暢に英語しゃべってたしプエルトリコ系移民の可能性もあるよな。人類の希望の赤ちゃんは、プエルトリコのひとりっ子。電気グルーブの名作である。いかん、葉っぱのシーンから連想しちゃったのか。あっちはコカインだってば。

(評価:★3)

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