[コメント] 猫目小僧(2006/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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猫目くんの顔が下ぶくれ過ぎなのを筆頭に、つっこみたいところは山ほどある映画です。お話の展開は100年前にも見たことがあるような陳腐なものだし、そこに登場する人物像も薄っぺらいことこの上ない。物語が観客の想像し得る範疇から一歩もはみ出さないから、既視感ばかりが先立って全く面白くないんですよ。まぁ楳図かずお作品自体がある意味古典だから仕方ないっちゃ仕方ないんだけど、それを差し引いても前半の退屈さには辟易させられます。
ただし時たま顔を出す妙にシュールなセリフは、「あざといなぁ」と思いながらもけっこう好き。まゆかの「何でパンなの!?食べ物でしょ!何でパンなの!?」とか、ギョロリとまゆかの「あと11mだ」「そんなに!?」とか下らなくていいです。中でも白眉だったのが、いじめっ子京子さんのキャラクターとそれを演じた中村映里子の振り切れっぷり。肉玉を雄次さんに食べさせる時の表情とかマジスゴい。「今私全力疾走してきたの!どうだった?どうだった?あははははは!」とかもマジスゴい。またこれが「猫目小僧」本来の面白みと全く関係ないのもマジスゴいです。
とまぁこれだけだと褒めてるのか貶してるのか分からないんですけど、最後の最後で「痣があっても自分は自分」という結論に持っていったことは評価したいと思います。痣が無くなってハッピーエンドよりよっぽど地に足が着いているし、きちんとしたメッセージ性もある。また猫目くんの目の動きに非常に気合が入っていたり、女性が叫ぶシーンの構図がまさに楳図マンガのそれであったり、原作に敬意を表していることは伝わってきたのでそれも良しです。
竹中直人がギョロリ役なのも正直「またかよ」ではあるのですが、予算枠を考えるとそれすらだいぶ頑張った結果なんじゃないかな。決して人にお勧めできる作品ではありませんし、つまらないと言ってしまえばそれで終わるのですが、同時に何だか憎めない1本ではあるように思います。
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