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[コメント] ファッティとキートンのおかしな肉屋(1917/米)

記念すべきキートン初出演作品。彼の素質を見抜いたファッティことアーバックルが縦横無尽に駆け回る作品で、キートンは脇役的存在。序盤の肉屋でのドタバタの迫力ときたらそれは見事で、当時の喜劇の舞台はあんな感じだったのかもしれない。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
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キートンにも素人の時代があったわけだ。マック・セネットのプロダクションにおいて主演映画の撮影をしていたロスコー・アーバックルに声を掛けられたのが全ての始まり。とんとん拍子で撮影が進み、キートンの初出演シーン(小麦粉を顔面に受ける!)は「一度も撮り直さなかった」という逸話も残っている。これはコメディ映画史上、当時としては「初」だったらしい。舞台で鍛え上げられた演技力!これはさすがである(実際、飄々とした顔で小麦粉を受けると、ズデーン!とお決まりの尻餅。違和感というものが無いのはすごいところ)

そんなわけで主演は、当時チャップリンと同じように大人気だったロスコー・ファッティ・アーバックル。カメラが寄ると分かるが、意外にも愛らしい顔付きで、あの風貌からして人気となる要素を備えているように思う。

この作品は前半=肉屋、後半=寄宿舎のシーンに分けることができる。肉屋ではファッティの包丁さばきに驚かされ(あれはスゴイ…)、小麦粉合戦には目を見張る!寄宿舎では女装から一連のドタバタ。これはチャップリンの短編でもよく見かけるが、女子寮という舞台が初々しくて危なくて…なかなか良い。ファッティで持ち上げ、ファッティで落とす作品であるが、登場人物も多く、起伏に富んだ脚本がとても楽しい。

キートンはファッティのことを心から尊敬している。ファッティがレイプ疑惑によって映画界から半ば追放されるような形になっても、ずっと彼のことを気にかけ、復帰の様子を伺っていたことは有名な話(結局それは良い形で叶うことはできず、ファッティは若くしてこの世を去っている)

(評価:★4)

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