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[コメント] 日曜の人々(1929/独)

ロバート・シオドマクエドガー・G・ウルマービリー・ワイルダーオイゲン・シュフタン、クレジット無しだが、フレッド・ジンネマンまで参加しているという、後のハリウッド進出組ビッグネームが並ぶ、サイレント終期のドイツ映画。
ゑぎ

 冒頭「映画に出るのは初めての人ばかり、すでに元の職業に戻っている」という主旨の字幕が出る。一部ドキュメンタリー的要素もあるが、素人俳優も皆、しっかり演出されているように見える。ロケーションは、ベルリン市街、登場人物のアパート、郊外のニコラス湖?というリゾート地周辺を繋ぐ。主な登場人物は若い男女5人。

 まずはベルリンの風景が切り取られる。本作のヒロインと云っていいクリストルと、ヴォルフの出会いの場面。道路の真ん中?市電乗り場か。クリストルの周りを回るヴォルフ。数カ所から盗撮風に撮られたカットを繋ぐ。声をかけるヴォルフ。二人は一緒に歩き出す。もうこの冒頭で、カメラの良さがよく分かる。

 続いて、アーウィンとアニーの部屋。二人は結婚しているのか?同棲しているのは確かで、アニーはすごい伝線の入った黒いストッキングでベッドに寝ている。壁のブロマイド。ガルボ、ジョン・ギルバート、ロイドなど。アーウィンが帰ってくると、やゝあって、喧嘩が始まる。ギルバートのブロマイドに石鹸の泡をつけるアーウィン(アニーがファンなのだろう)。アニーは、仕返しに、ガルボのブロマイドにヘアアイロンを押し付ける。次第に大騒ぎになる。そこにヴォルフがやって来る。(この後、明確には描かれていないが、日曜日に皆でピクニックに行こうという話がされたのだろう。)

 日曜日(翌朝?)アーウィンは起きるが、アニーは起きない。アーウィンのみヴォルフとの待ち合わせ場所へ。クリストルは女友だちのブリギッテを連れてきている。親友よ、と紹介する。四人でニコラス湖へ向かうシーンでは列車、バス、自動車、オートバイなど交通機関を繋いで見せる。湖の畔で水着に着替え。ブリギッテは、レコードプレーヤーを持ってきている。ヴォルフは、クリストルを水に沈め、ふざけてキスする。怒るクリストル。湖畔で、パンとソーセージの食事。四人の笑うカットに続いて、市井の人々(老若男女)の笑う顔をどんどん繋ぐ。この部分は完全なドキュメンタリーだ。

 遠くまで走っていくブリギッテを追いかけるヴォルフ。ヴォルフを巡っての、女の子二人の嫉妬の表情が面白いし、とてもスリリング。ヴォルフとブリギッテは、二人きりになってキスするが、その後どこまで関係を結んだのかは隠蔽される。

 そして四人の別れの場面があり、アーウィンが帰宅すると、アニーは、まだ寝ていた、というオチめいたプロットが来る。これは大方予想通りだと思う。その後、翌朝のベルリンの出勤風景が続く。そこに字幕の連打があって終わるのだが、この最後の字幕攻撃は大仰だと思った。ただし、全体に瑞々しい画面の連続であり、水辺のシーンが多いこともあり、ルノワールを想起する。映画を作る喜びが伝わって来る、とても愛らしい映画だ。

(評価:★4)

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