[コメント] 綿の国星(1984/日)
主人公のチビ猫をはじめ、キャラクターは随分大島弓子の造形とは異なっている。だが、チビ猫は大島のラフな筆致から見ると随分色気が増して、成功していると言えるリニューアルだ。チビと人間たちの感情が、一度として重なり合うことがないのもリアルである。(付記:猫耳とかエプロンドレスの流行の源流と、この作品を見るのは非常に恥ずかしいことだ)
正直、7〜80年代少女漫画の巨匠たちのなかでも、大島は自分の好みではない。だが、これを虫プロ風にいじってみると、大島の原作にはないキャラクターの感触、血の通っている実感があり、これはこれで成功だったと言っていいだろうと感じる。
お話としては飼い猫になったチビが気まぐれで家出し、ささやかな冒険ののちに帰ってくる、というごく他愛ないものであるが、その中であくまで猫の論理に従って行動する彼女の姿は、見ていて飽きない。
だが、さすがに年月の流れは誤魔化せない。この当時の少女漫画アニメ化作品のほとんどがことごとくヘタレであり、不自然きわまりなかったことはこの作品でも例外ではなく、絵の深みのなさ、幻想場面のファンタジックさの欠如はいかんともし難い。この辺はその後十数年を待たねばならなかったというところか。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。