[コメント] 硫黄島からの手紙(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
もちろん、それに至る過程と、その後の展開が有るからこそ印象深く頭に残ってしまった。
そして、私が知っていたことは、わずかだった。
■当時、国民には巨大な国家権力と思われていた大本営(軍上層部)は、海軍と陸軍が一つではなく、バラバラだったということ。印象深いセリフ「軍上層部は、国民だけでなく我々をも欺くのか!」
■私自身の無知を恥。
映画の中では、ピンとこない部分を理解するために700円のパンフレットを購入する。久しぶりに隅から隅まで内容を熟読してしまう。以下、パンフレットを含んだ私の感想である。
特に、スクリーンでは伝わらない硫黄島の地下壕内の湿気と熱気、そして臭い。
今入り込んでも数時間も入っていられないそうだ。それをひと月以上の期間。それも飲まず食わずである。 これを地獄と言うのだろう。ただ、それを上回る凄まじい力、やはり後世の人(私も)は、これを正しく理解すべきだと思う。人類の世界『無形』遺産としてである。
栗林中将やバロン西氏のように国際人がいたのにもかかわらず。悔やんでもしようがないが・・・。相手を識っているからこそ最良の作戦で迎えたのだと思う。悔やまれる。そして多くの若者が死んでいくのである。
■またもや、黒船によって広く扉が開かれる・・・と言いたいところであるが、現代はグローバル化し、情報が簡単に国境を越える。日本のことを外国人に教えてもらうことが、悪いことだろうか?身近なところで、あなたが生まれた地域のことをどれだけ知っているだろう?地元について外から教わることは私は多い。あるいは、海外へホームステイの経験あるひとなら、よく実感するかも知れない。
クリント・イーストウッド監督が、硫黄島に興味を示し、リサーチを重ね映画にしていく。これを公開前に観た遺族や生存者が涙を流したという。日本人の監督で作ってほしかったと思う気持ちもどこかにあるが、さて誰が作れるだろうか?そして、”横やり”が入らないで作れるだろうか。遺族や生存者には、先送りされて作られないより、高齢の方々には現実を優先するのが必然。
個人的に引っかかるシーン。内地で犬を飼っていたエピソードに疑問を沸いたが・・・リサーチの結果だと信じよう。
■先に”無知を恥”としたが、これから勉強(リサーチ)していける楽しみがあると言うことである。「無知を楽しみたい」
最後に『父親たちの星条旗』のコメントにも書きましたが、「イーストウッド監督様、戦争の始まり『真珠湾』に至るまでの日本とアメリカを描いてほしいです。それを第3部(ビギニング)になりませんか?」
※余談ながら・・・今年観た作品から。
『男たちの大和』のYAMATOの話は、以前からよく知っていた。「俺たちが死んで日本を目覚めさせる」言葉が重い。
『ユナイテッド93』のDVDにも遺族から観た映画の感想がいくつか紹介されている。共感する部分も少なくない。
『太陽』は、製作国に日本が含まれない。しかし終戦間際から始まる昭和天皇の話。私には、まだまだ知識不足のようだ。
また、以前観た『K−19』は、製作にロシアのない当時ソ連初原潜の悲劇。(今回この作品も思い出した)
そして、何故か、昔劇場で観た『二百三高地』をもう一度観たくなってきた。今なら理解できるだろう。こちらもかなり無茶な戦闘であった。どこから日本がおかしくなったのだろう。
おと一つだけ、日本人の多くは、いつも負けた第2次世界大戦を出す人が多いが、それまでに偶然に勝った戦争には、負けた相手や勝つために犠牲になった人達がいると言うことを忘れないように記しておきたいと思う。
2006/12/10劇場にて
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