[コメント] 大阪の宿(1954/日)
アクション繋ぎで、最も顕著なのは、乙羽信子と細川俊夫が酔っぱらって佐野周二の宿の部屋を訪ねてきた場面で、乙羽が唄いだす際、佐野と乙羽が座っているショットを2カット、それほど大きく画角を変えずに繋ぐ。これは、ハッとさせる効果がある。また乙羽の芸妓は絶品。今まで見た乙羽の中でも一番いい。
この宿の女将は三好栄子。いつもの感じで安定したイヤラシさ。宿には女中が3人おり、3人ともプロットに上手く絡んで、とてもよく描けている。水戸光子の出番が多いが、川崎弘子もいい。左幸子は14歳から男を知っているという噂の、男好きの女中という役だが、イマイチ性的な見せ場も少なくて、水戸、川崎に比べると、損な役回りだ。三好の兄だが、宿の下働きをしている、おっさん役の藤原釜足がコメディリリーフとして十分のパフォーマンスを見せる。
感心した造型は、他にもいくつもあるが、仕立屋の娘おみつ・安西郷子の家がある町の見せ方なんかもそうで、路地の向こうの高架の上を汽車が通るカットが2回ある。あるいは、夜、乙羽が旅館を出て、川べりを歩き、佐野が追いかけ、二人で歩くシーン。土佐堀から中之島にかけての昔の姿。川と遊歩道が近い。二人で川のすぐ側に佇み会話する情景の美しさ。そして、ラストの宴会シーン。参加者みんなでヤケクソのように唄いまくる。それぞれをバストショットで繋ぐのだが、みんな苦渋の表情を浮かべているというスカッとしないエンディング。しかし、私なんぞは、この一筋縄ではいかない、シュールなエンディングに、快哉をあげたくなるのだ。
#備忘で配役などを。
・冒頭、「創立7周年記念」と出る。新東宝の設立7年という意味だ。
・最初のシーンは居酒屋「蛸政」。allcinemaでは、蛸政の主人は、十朱久雄とあるが、実際は中村是好。十朱は、佐野周二の大阪支店での同僚。この最初のシーンで既に客として登場している。店の柱に曽根崎二丁目と見える。
・佐野周二の上司の支店長は大好きな田中春男だ。いつもと違って大した貫禄。
・佐野が水戸と川崎を誘って、大阪城見物をする場面がある。
・佐野と同じ宿の、長逗留するスケベな客で多々良純。多々良も随所でプロットにからむ重要な役だ。ラスト近くの、田中春男がセッティングした接待場面でも登場する。また、この場面で接待する相手は小川虎之助。
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