コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] モーガンズ・クリークの奇跡(1944/米)

軍服が着たくて仕方がない男のお話。産めよ増えよ地に満ちよ、という言葉も想起してしまうが、終盤ではムッソリーニとヒットラーが激怒する映画だ。それはさておき、本作の良い部分として私があげておきたいのは、
ゑぎ

 何といっても2人の人物が道を会話しながら歩く場面の反復、いずれも後退移動の長回しで撮ったショットだ。これが4回繰り返される。最初は、トルーディ−ベティ・ハットンが父親−ウィリアム・デマレストから出征パーティへ参加することを止められ、カムフラージュのため、ノーヴァル−エディ・ブラッケンを呼び出し、家の前から映画館前まで2人が道を歩く場面。次に、病院(産科)からトルーディ−ハットンと妹のエミー−ダイアナ・リンが表に出て、2人で歩くシーン。このシーンの終結はブラッケンへのディゾルブだ。3番目は、ブラッケンが全てを了解したうえで、ハットンにプロポーズした後の2人で街の公園のベンチまで歩くシーンだ。このシーンでは、道路を横切る2人にぶつかりそうになる馬車も描かれる。最後は矢張り、ブラッケンとハットンだが、2人で自殺の相談をしながら歩く。川へ一緒に飛び込んで、と云うハットン。でも2人とも泳ぎが達者だから諦める。

 この4つの長回しの後退移動こそ、本作の美点だと思う。これに比べれば、プロット構成の面白さや、デマレストとブラッケンのスラップスティックの造型、見事なコケ演技も重要事項(映画的な部分)ではないと思える。ただし、これも映画的かどうかは別として、ハットンがレコードの男性歌唱に合わせて口パクで唄っているように見せる冒頭シーンは、インパクト抜群の、つかみはバッチリという演技演出だろう。

#州知事−偉大なるマッギンティ−ブライアン・ドンレヴィとボス−エイキム・タミロフのゲスト出演が嬉しい。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。