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[コメント] 魔性の香り(1985/日)

なまじっか有名な石井隆の詰まらぬホンを持て余し、なまじっか有名な天地真理の映画にしようと頑張ったが限界があった、というとことなんだろう。秀作多数の結城昌治原作映画のなかでいかにも低調。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







見処はリリカルな断片で、青い線香花火から始まり、夜中の溶接作業の火花の青と重なる。子供の線香花火見て天地は「母ちゃん」と口走り夫の高橋長英の手を振りほどく。ジョニーの事務所は浸水し天井に穴が開いて滝のように水が落ちている。

こういう印象的な描写と、金属バット振り回す天地鬼の形相の組合せは傑作『人魚伝説』を想起させる。しかしいい組合せに見えない。ホンがまるで面白くないうえに、童顔の天地はこの役には不向きだっただろう。監督は隣にいる風祭ゆきを主役で使いたかっただろう。

ホームでくわえ煙草しているジョニー大倉の背後で「当駅では夕方の禁煙タイムを実施」と放送が流れる風俗描写が85年を記録している。テレビでかかっている、武士が綱を刀で斬ると飛行機が木製の滑走路を進む、という奇怪なモノクロ映画は何だろう。

(評価:★2)

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