[コメント] センチメンタル・アドベンチャー(1982/米)
センチメンタルなドラマの風情も葛藤提示に弱くポエジー立たずでSO-SO
これを邦題といってよいのか分からぬが、なんと工夫のないネーミングであろうかという摩訶不思議なタイトルである。一刻も早く「ホンキートンク・マン」として改題して欲しい。それだけでビデオグラムの売上げが大きく左右されるであろうと思われる状況である。 肺病を抱えた老ミュージシャンという設定が今回のイーストウッドヒーローである。肉体にハンディを抱えたヒーロー像はイーストウッド映画における常套句であるが、この時期のイーストウッド作品の拙さが見えるポイントとして、その主人公の置かれた葛藤状況を展開させるのに、それを示唆するエピソードが主人公のみに収束する一点集中型の話法がある。甥であるホスの視点による主人公像という設定が限界なのか、題名の通りセンチメンタルな風情を湛えてドラマとしての拡がりを期待させる物語ではあるのだが、いかんせん主人公の人生に焦点を当てるものとなりえず、人物描写に物足りなさが生まれており、その仕業でナッシュビルを目指すことのクライマックス感にも乏しく、諸所のエピソード群に面白さはあってもドラマ全体の効果をあげる脈絡の妙というものが利いていなかったのが残念であった。しかし、プロットで語る作家として稀有な創造性を持っているイーストウッドは、11年後『パ−フェクト・ワールド』でリベンジを実現する。
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