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[コメント] めぐみ 引き裂かれた家族の30年(2006/米)

横田さん夫妻を中心にした家族会の活動記録。増元照明氏の主張は自民党本部前での野中幹事長糾弾シュプレヒコールから国政選挙出馬に至る一方、蓮池透氏らの批判が採用されない不足感は否めず。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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77年、新潟市の中学生、バドミントン部で、夜戻らないので母は学校へ見に行ったが、部員のなかに娘がいないのを発見してぞっとしたと語る。夫妻は小川宏ショーで呼びかけもしている。2年後、産経新聞に3組のアベック謎の失踪の記事が出る。日本海側で奇妙なことが起きていたと記者語る。

87年、北朝鮮の狙いは韓国の共産化(と朝日のプロデューサーは云っている)、ソウルオリンピックの成功を望まず大韓航空機爆破、犯人金賢姫は日本人パスポートを持って乗り爆弾しかけて途中下車、日本人から日本教育受けたと供述して拉致が明らかになる。

20年後の97年、朝日放送のプロデューサーが韓国からの情報を得る。元工作員脱北者アン・ミョンジン、本人が映画に登場し、スパイの訓練受けた、88年にめぐみに会った、拉致したのはチョン先輩、彼女はショックで精神に障害が出ている。横田夫妻に説明したら本人と確認された、夫妻も誠実な人柄と語る。同97年、国会で拉致案件にまゆみさんも含めるの答弁、北朝鮮のラジオは謀略劇と報道。外務省で家族会のインタヴュー、申し入れ、署名活動。

北朝鮮へのコメ支援反対の自民党本部前シュプレヒコールが記録されている。野中は北朝鮮からカネ貰っているだけじゃないか、日朝国交正常化は拉致の解決にはならない、バカヤローと叫んでいる人もいる。そして森総理に陳情、森は拉致問題の解決なしに国交正常化はありえないと回答。小泉次期首相もこれが一貫した姿勢と語る。

2002年、日朝首脳会談。北朝鮮は13人の拉致を認める。8人死亡、めぐみさんは結婚して子供があり、29歳で自殺と回答。家族会の会見で事務局次長の増元照明は、国会、社民党と共産党を糾弾する発言がワンフレーズ記録されている。家族会もいろんな人がいたものだった。同年、政府の調査団がめぐみさんが入院していた病院を訪れる映像。持ち帰られたのだろう、書き換えられた台帳の写真囲んで夫婦の疑念が述べられる。

同年10月、被害者五人が羽田へ。めぐみさんの娘のビデオレターも持ち帰られた。母は死んだと云わされているのではないかと疑念を述べている。死亡と伝えられる93年(後に94年に訂正)以降も目撃情報がある。ほか、未帰還の親族も生きていると信じていると述べる。上記の元工作員脱北者アン・ミョンジンも、金正日の息子に日本語を教えていると情報を伝える。

小泉再訪朝帰還、補償を約束してきた首相に家族会から厳しい声が飛び、包括的な解決が必要なんですと首相。アメリカなら戦争しても取り返すって云うんですけと、と父が語る。増元照明氏は衆議院出馬、家族会で選挙活動して落選。この人の余りにも右傾化していった言動も一部記録されている。一方、蓮池透氏らの批判的な活動はまるで出てこないし、『アジアの純真』ももちろん出てこない。

2004年、調査委員会が訪朝、遺骨のDNA鑑定で虚偽で判明。小泉も遺憾。夫婦ははじめから判っていたがホッとしたと会見。この時点までが収録されている。これ以降の北朝鮮との関係の凍結は述べられない。母はヨブ記、「神は与え神は奪う」を語っている。学生時代の「流浪の民」を唄うめぐみさんのコーラスの録音がテープで流されている。

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