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[コメント] 蟲師(2006/日)

どうも虫は苦手でして・・・
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大友克洋ワークスを今振り返ってみると『幻魔大戦』が彼を狂わせたとしか考えられない。

そして本作に至っては、他者の原作をいただき、みずから監督をするなどおこがましいとしか言いようのがない行動にでている。

漫画家が漫画家の作品を実写で映画化することなど、何の意味があるというのか?それとも彼は自分が映画監督として才能があると信じているのだろうか?

原作は読んでいないが、この筋書きの面白さは、人間でもない、植物でも動物でもない存在を定義することによって、大半の人の目に触れないものの存在を確立する。そして世に表れる不思議な病などを、その目に見えない存在が原因であるとして、その蟲という存在を見ることのできる者として蟲師を登場させる。

面白い切り口だと思う。

ただ、蟲師がこの映画でヒーローになろうとしているわけではなく、病を治す医者という存在でもなく、自らの出生を背負い、人々を助ける存在であるところも重みがあってよいと思う。

最後、蟲師が画面から静かに消え行くシーンはとても良かったと思う。自然に還ったことを意味するのか、もともと彼のような存在がいなかった、と意味しているのか、その判断を見る側に委ねようとしている。面白い。

ただ、やはり漫画とアニメから脱却できていない。

だから大友克洋は映画に進出することを止め、自らの筆で今一度その才能を見せつけるべきだと思う。技巧と本人の才能は認めるが、映画としての才能はない。

(評価:★3)

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