[コメント] 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
実は私も一人目の息子でありながら高校卒業と同時に故郷を遠く離れ、大学時代はオダギリ同様の腐った生活を過ごし、その後東京で就職し、仕事柄、今後も地元に戻る可能性はほとんどないという人生を送っている。そんな私にとって、ここまで身につまされる作品は過去未来問わず現れないであろう。マザコンと評されがちなオダギリの役柄だが、私には痛いほどよく分かる。男の子にとって母親は、恋人や妻と同レベルの永遠の愛情の対象なのだ。マザコンで何が悪い!
最近は映画の観賞中常に、観終わってからシネスケに何てコメントしようかと考えてしまう私。本作も中盤までは「昔のオカン役は、樹木希林にそっくりだなぁ(後で調べてみると、実の娘か!)」とか「オダギリや樹木希林に比べて、松たか子の演技はアレだな」とか本当にどうでもいいことを考えていた。しかしオカンが東京に引っ越してからというものの、私が普段出来ないでいる母への関わり方を画面上で見せつけられ、そのシーン一つ一つに喉元とか心臓とかいろいろな部分を締め付けられる感じがした。病床で苦しむオカンに、私は肩を抱いてあげたり一緒に苦しんであげたり出来るのだろうかと不安になった。最後、オカンからの手紙を読んで私自身もなぜか救われた気持ちになった。もう、シネスケに書くコメントなんてどうでもよくなっていた。
本作を観終わってからすぐに母親に電話をした。あちらは息子がここまでハイになっているとは露知らず、「あ〜、明日も仕事かい、まぁ、風邪ひかないように頑張りなさいよ」とか言われて足早に電話を切られた。なんというか、そんなどうでも良い母親の言い草が私にとっては堪らなかった。久しぶりに泣いた。映画に、というよりは母親に泣いた。
以上、全然映画に対するコメントにはなっていないのだが、私自身のために、この文章を残しておきたい。
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