[コメント] 恋人たちの失われた革命(2005/仏)
観客がこの映画に対して「退屈だ」という感想を抱いたとしてもそれは無理からぬことだろう。それは、これが「退屈な日常」を誠実に描いた映画だからなのだが、むしろ私は退屈な日常を描いているにしては面白すぎる、と思ってしまう。
暴動シーンにおける「煙」や「炎」、さらには「熔解する金属」などの「白さ」が尋常ではない強度を誇っている。映画においてこれほどまでの「白」を目にするのはきわめて稀な体験だろう。また一見ぶっきらぼうに撮られたように見えるショットでさえも、よくよく見てみると実に練られた構図であることが分かる。一瞬たりとも油断できない映画だ。The Kinksの“This Time Tomorrow”が鳴らされるダンスシーンも突出した輝きを放っている(私は前から“This Time Tomorrow”はキンクス・ファン以外にも広く知られるべき“Waterloo Sunset”級の名曲だと思っていたけれども、これほどまでに泣ける曲だとは気がつかなかった)。
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