[コメント] スパイダーマン3(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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スパイダーマン3を観た。この映画、第一作第二作ともにそれなりのできであったのに今回はちょっといただけなかった。観たあとの感覚は、アメリカンコミックをコミック誌で読んだという感覚に陥った。それはいったいどうしてなのだろう。
アメリカンコミックだから、その内容の深さという点においては初めからあまり期待はしていない。しかし、それなりのリアリティはやっぱり必要なのだ。それが感じられなかった点において、今回の作品はコミックを越えられず、映像を見てもコミックを読んだ後程度の感覚しか持ち得ないものになっているのだ。
宇宙からの黒い生命体に取り付かれたスパイダーマンという設定自体が既に古臭く感じる。あれって、「Xファイル」に出てきた黒い物体の方がずっと、恐ろしげで神秘的であった。
現代はSFものを面白く見せるのは非常に難しい時代になっている。スピルバーグがリメイクした「宇宙戦争」でも、映像はそれなりに面白かったが、宇宙人が何故死んでいったのかの設定は、原作どおりでは既に古臭いものになっていたように、スパイダーマン3は古臭かった。
もう一つのこの映画の失敗は、スパイダーマンの負の部分を描きたいがために、ヒーローであるはずのスパイダーマンが、そこら辺の軽薄な男にしか見えなかったこと、さらに親友との和解、サンドマンとの和解がただ単なる予定調和にしか思えないことだろう。
アメリカンコミックであっても、SFであっても、やはりそこに人間が描かれていない限りは、大人が鑑賞して耐えうる作品にはなりえないことを実感するだけの映画になってしまった。
ただ、いつもながらの空中戦の映像は楽しめるのだが、3作目ともなるとそれにも慣れてきてしまい、感動は薄れてしまう。1,2作目がそれなりに面白かったのでまことに残念な作品になった。この手の映画は嫌いではないので、尚更もう人ひねりほしかった。
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