[コメント] デス・レース2000年(1976/米)
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国家が主催する大陸横断レース「デス・レース」に挑む5人のレーサーのカー・アクション映画。
『ニューヨーク1997』のような政治が権力を握る世界観で国家が企画したレースゲームに5人の男女が挑むというストーリーなのだが、これがただの大陸横断レースではなく、速さを競う他に通行人を轢き殺す度に得点が加算されていくというルールで、殺す通行人によって点数が違ったり、中盤ではレース関係者を殺しても得点が入るというようになるなど様々な設定が作られていて非常に斬新。さしずめアメリカの何でもありのバイオレスゲームを映画で実現してしまったような感じで、現代で映画化するならありそうなところを30年も前に実現してしまっているところに驚きがある。
さらにこの映画では5人の参加者が速さや得点を競うレースだけでなく国家が企画したデス・レースを廃止させるために反対派のレジスタンスたちが様々な罠を仕掛けてレーサーたちを妨害するという展開も描かれ、いつレジスタンスの罠にはまるかも知れない中でレースをする緊張感の煽り方はなかなか秀逸だった。
カー・アクションや個性的な車のデザインも70年代の映画としては悪くない出来で、特にレジスタンスの操縦するヘリのミサイルを巧みにかわしていくフランケンシュタインのカー・スタントが実にかっこいい。
キャラでも主人公のフランケンシュタインはレースに参加することを楽しむただの荒くれ者というわけではなく、通行人を殺すことで得点を稼ぐ方法は極力利用せず速さだけで勝負に挑んでいて、通行人を殺す時も罪のない人は殺さないところなどポリシーが貫かれていてよい。またレースに参加している目的が実は大統領の暗殺のためであることが明らかになり同じ目的を持つナビゲーターのアニーと協力してレースに挑んでいく過程もしっかりと描かれていて実に魅力的。アニーも実はフランケンシュタインを利用して大統領を暗殺使用していたことに罪悪感を感じてナビゲーターを降りようとするところなどもしっかりと描かれている。
ただ、フランケンシュタインとシルヴェスター・スタローン演じるジョー以外のレーサーに今ひとつ個性が感じられず、奇抜なキャラ設定のわりには存在感がやや薄かった。またデス・レースに何度も参加しているプロのレーサーのわりにレジスタンスの罠に結構簡単に引っかかってしまうのにもかっこよさに欠けてしまった。
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