[コメント] そのときは彼によろしく(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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大人になった花梨(長澤まさみ)と智史(山田孝之)が再会する場面と、花梨が復活して智史に会いに行く場面の構図が同じ。対称的な構図は、それだけでちょっと良い。
タイトルの「そのときは彼によろしく」は、作中の重要なキーワード。花梨が、自分の死が迫ったときに、二人のたいせつな幼馴染に向けた言葉。と同時に、彼女自身が、智史の母親からもらった特別の言葉でもある。王道的な二重構造といえる。
また、冒頭もとてもよかった。覗き込んだ水槽の水草が、一瞬、森と重なり、カメラが引いて、森の映像になる。映像テクニック自体が面白いが、そのテクニックをうまく用いて、登場人物の心情をうまく説明できたことが良かった。智史は、水草専門店なんて、いかにも儲かりそうもない店を経営していて、約束だからとか、そういうことを言って、科白では、いまいちぼやけた動機しか見せない。しかし、水槽の中に丁寧に作られた、水草の環境は、自分たち三人が出会った森の風景なのだ。何年かけても変わらない気持ち。冒頭の映像は、人物の思いを観客に気づかせるために、有効なやり方だったと思う。
ストーリーは、意外なところに着地する。しかし、原作の市川拓司が、意外なストーリーにする作家という枠?にいることを観客はもう知っており、本作もその枠から外れない。そういうことで、意外性はたぶん無い。
音楽は、ひどい感じがした。本作の挿入歌に、私が好きなバンドiLLも参加している。挿入歌は、数人に依頼しているっぽいが、iLLの提供曲に関しては、何度も聴いているので分かる。ズタズタに切られていた。音楽は大切にしてくださいな!
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