それらはモノクロ等で分かりやすい画面として提示されており混乱はないのだが、しかしなんか薄っぺらい。例えば犬や猫を虐待する３人組の悪役が登場するが、彼らの描きこみで「映画」にする気は全くないらしい。或いは関めぐみ演じるヒロインの描き方も切なさが全然足りない。

　登場人物では前半の瑛太が謎めいた人物で面白い。彼の正体があばかれてからはちょっと興ざめ。主人公・濱田岳はいつもながらだが飄々としていて見ていて楽しくなる。

　これはちょっとしたネタバレになってしまうが、「この主人公は牛タンを食べることができるか」というテーマがラストまで比較的あっさりと描かれているのだが、エンディングの新幹線では眠っていて食べていない。結局最後まで食べないまま、ということなのだけれど、これでは流石に中途半場じゃないか。新幹線の通路に落として中身をぶっちゃける、ぐらいするのかと思った。