[コメント] 夕凪の街 桜の国(2007/日)
佐々部清監督作品は出来不出来の差が大きい人である、と思う。「チルソクの夏」「陽はまた昇る」人間本来のやさしさ、思いやり、忘れていた根源的なこころを描いていた初期の作品はストレートな演出で、作品から人の心の融合のような、強い何かを
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映画を見終った人むけのレビューです。
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感じさせていたものだ。
ところが、「半落ち」で興行的にも成功したのか、何か素直な人を見る目は健在なのだが、それを売りにするようなところが見え始めたのも事実だ。「カーテンコール」の破綻、「四日間の奇蹟」の人工的なお涙頂戴にいたってはひょとして才能の欠落した人なのかな、と訝っていたが、本作である。
相変わらず泣かせを主とする演出はこちらがどんどん泣いちゃっているものだから、もうどうにでもしてくれと言わんばかりだが、時間がたって歳月が過ぎようとも、人間本来の自然な気持ちは現代でも人のこころに十分に生きているという、もうここまでなると佐々部清の希望のような希求の思いは観客の心にずしんと解けて入り込んでいると言わざるを得ない。
それほど、人間への思いが強いのである。今回は原爆をテーマにしているが、人間として、人間を素直に愛することの尊さを前面に出す姿勢は一定であり、ピュアである。音楽もすばらしく、トーンが透明で初期の作品に多少戻ってきた感がした。
俳優も、女優は演技達者な人を起用しており、見ごたえがあり。男優は重要な役に吉沢悠、伊崎充則など、地味な俳優を使っており、この作品のテーマに合致してなかなか秀逸。当たり前の「原爆許すまじ」などというメッセージ色の少ないのが逆に感動できる理由でもある。
今日は偶然にも広島に原爆が落とされた日でもあった。
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