[コメント] 許されざる者(1960/米)
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アクション西部劇映画。オードリー・ヘップバーンの出演作としては初の西部劇。
『黄金』の金に取り付かれた人間の欲の執念深さや『アフリカの女王』の難関を越えるごとに深まっていく人間の愛の感情といった人間ドラマの演出の秀逸さに定評のあるジョン・ヒューストンが監督だが、今回はかなり底の浅い映画となってしまった。
登場キャラ自体はみな個性的で、役者も個性に沿った演技をしており悪くはないが、いかんせん今回は映画内容がザカリー一家の父親が奪った子供を奪還しに来たカイオワをザカリー一家が返り討ちにするという話では、ストーリーに感情移入できないどころか、嫌悪感すら残ってしまう。しかも、ザカリー一家側が被害者ような描写が延々と続く上に、ザカリー一家に罪悪感そのものがないところなど、非常に図々しく、不可解極まりない。
ストーリー重視で観れば☆1個ものだが、アクションシーンは結構見どころがあり、家にこもってカイオワと戦う籠城銃撃戦はなかなか迫力があって、アクション映画割り切ってみるなら標準といったところ。
役者に関しては、ベン役バート・ランカスターは毎回、イメージの異なる役を前作のイメージに左右されずに無難にこなしてしまうあたりには感服するが、映画内容が基本的にお粗末なパターンが多いため、せっかく演技力が今ひとついかされていないのが残念。ベンの母親マチルダ役リリアン・ギッシュも『狩人の夜』同様、母親キャラの演技は素晴らしく、今回もカイオワの威嚇のダンスに対抗して荒野でピアノを弾くところはなかなかの貫禄だっただけに、ストーリーのお粗末さが非常に残念。役者が気の毒。
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