[コメント] 暗黒の恐怖(1950/米)
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目に見えない敵と戦う防疫サスペンス。表舞台には決して出てこず、裏方に徹しているためにあまり知られてはいないが、彼らの活躍によって国は守られていると言っても良い。そんな人達の活躍を、セミ・ドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
何より本作は観点が素晴らしい。表舞台に出てこない、いわば国家の裏方の仕事を主題にして、その中での緊迫したやりとりがある。捻った設定を出してくるカザン監督らしい選定の仕方だが、本作はその緊張感が旨くはまった作品といえるだろう。カザン監督は苦手なんだが本作は凄く面白かった。派手さは無い代わり、緊張感はビンビンに伝わってくる。マニュアル通りには行かない焦りと緊張の中、偶然や幸運も手伝って、犯人を特定するまでの過程が丁寧に描かれるために好感度が高い。一方、観ている側は犯人が分かっている状態だから、捜査を丁寧に描けば描くほど、それが回りくどく感じてしまうのはマイナス点。この辺のバランスが取れていれば凄い作品になったと思う。この素材でバランスを高めたのが『アウトブレイク』(1995)になるのかな?
それにしてもウィドマークを主人公に持ってきたのは本作の最大の功労点ではなかっただろうか?強面で悪役が似合いすぎるウィドマークが渋面の主人公をやってるとなんか本当に役人っぽくて、すごくはまって見える。ただ、この人は元々法学の講師だというので、本来のインテリ役なんだろうけどね。その強面のウィドマークに負けないバランスの存在感も良し。
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