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[コメント] スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(2007/日)

用心棒』のパクリ『荒野の用心棒(というか”続〜”か)』の露骨な残飯あさり。「スキヤキ」なんていいものじゃない、「モンジャヤキ・ウエスタン(もどき)」。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公は何をもって主人公たり得るのか。ただ銃を撃ちまくって最後まで生き残るのが主人公なら、およそこの世にこんな楽な役回りはあるまい。しかも、その肝心カナメのガンアクションが凡庸だというのだから、彼の存在価値はなきに等しい。

そして殺人ギャグは、前世紀末の『北斗の拳』を丹念にトレースしたものでしかない(真剣白刃取りのくだりなど)。その上睾丸を潰された石橋が、オカマと化して伊勢谷に襲い掛かるなど、下品この上ない。

だいたい監督は『平家物語』をどう思っていたのだろう?冒頭の文句とあらすじくらいしか知らないのじゃないのか。各キャラの極めて情けない生き様と死に様は、源平ファンに対する挑戦か、とも取れてしまう。しかも「世界水準を狙ってヴェネツィア映画祭を目指す」という。それゆえの全英語劇というのも失笑に価するが、かの国の人々が清盛だの、義経だのを知っていると思っているのか。どうせ知らないのなら、妙に固定ファンのいる史上の英雄達(彼らのバトルフィールドの情けなさとセコさは筆舌に尽くしがたい)など引っ張ってこずに、清水の次郎長あたりの、よりぴったりの人材を見つけ出す努力を惜しまないで欲しいものだ。

一応冗長で退屈と言っても、カメラは面白いショットで狭いセットをカバーしてくれているし、伊勢谷はなかなか面白く、桃井かおりもガンアクションが堂に入っていたので1点プラス。タランティーノ(すき焼き食ってるだけ)はもう少しマシな使い方ができなかったのか、という問いは三池には酷過ぎるか。でも、ルリ子とアキラは本物を使ってほしかった。

それにしても、ジャンゴと呼ばれる人物がラストまで現われない(しかも主人公の名前ですらない!)展開には、さすがのオレもトサカに来たぞ(笑)。

(評価:★2)

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