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[コメント] 西部戦線異状なし(1930/米)

厭戦という設定が人間の業の深淵を描き切れずSO-SO
junojuna

 厭戦ヒューマニズムという性格がある以上戦争映画の悲劇的プロットは感傷的であればあるほど可でも不可でもなくなってしまう。戦争映画の厄介なところは人の死が映画一面に転がっていながらその死についてはあらかじめ予測されたものであり、主人公も然り登場人物に訪れる死は当然のものとして受け入れられるという性質にある。そこにヒューマニズムに立った受難者の悲劇を描く視点では人間の生死に対してのリアルな感慨や人間の業の深淵について思いを馳せることは難しい。本作は峻厳とはほど遠い予定調和の甘さに担がれた名作と言わざるを得ない。やはり映画は映画としての文体を生きなければならないのだ。戦争ものというテーマ映画にこそ作家の文体としてのレトリックが求められる。アクション、サスペンス、ユーモアなど主題を躍動させ痛感させる演出が欲しかった。

(評価:★3)

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