コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 血のバケツ(1959/米)

いろんな意味で「奇妙な味」な映画。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







怖いとか笑えるとか、そんな以前に、もうどうにも侘しくなります。

ヘタレな主人公を「しょうもない」で片付けるのは簡単ですが、「すっかり忘れられる前に何とかしなきゃ」、こんなセリフを聞いてしまうと、どうにも切なさがこみ上げてしまうのを禁じえません。ヘタレはヘタレなりに自分の運命を知っていたのですね。落ちぶれる姿になる前に、何とか今の瞬間を永遠にしたかった。時を止めて永遠にする=死、そう思ってしまったのですね・・・。セットやヒロインや例の彫刻などの安っぽさも相俟って、何とも侘しい気分にさせられます。

しかし表面上は安っぽいとは言えども、映画の骨格はそれなりにしっかりしている、という印象も。猫の彫刻に仰天感動するクダリには、何かの冗談かとも思ったけど、登場人物一人ひとり案外キャラが立っているし、演出も決しておざなりにはなってないし、奇妙なユーモアをドラマにブレンドしながら展開しつつ、ラストに至ってノワールな逃走劇も観れたり、と。亜流な雰囲気も漂わせつつ、決して仕事がやっつけにはなっていないトコロが、B級の首領と言われる由縁なのかな。

まあでも、一番奇妙なのはタイトルのセンスでしょ。「本当にソレで良いのか!?」と、問い詰めたくもあり。

(2007/9/4)

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)Bunge[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。