[コメント] 虎鮫島脱獄(1936/米)
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主人公の医師、ワーナー・バクスターが治療代に50ドルをもらって、その妻・グロリア・スチュアートと一緒に喜んだ直後に家のベルが鳴り「あゝ50ドルを取り戻しに来たか」と思うと、黒人召使・バックの子供がドアの前に立っている、という演出も面白い。
舞台がシャークアイランドへ移ってからも脱獄譚や黄熱病騒動を絡めて畳みかけるような怒涛の構成。またワーナー・バクスターが圧倒的な存在感だ、さらにジョン・キャラダインがパラノイアックな悪役を演じており、少々極端と云ってもいい、異様なアップカットがあったりする。(ただし黄熱病の手当てをされると人が変ってしまうのは、少々白々しい。)また、バクスターの妻を演じる後の『タイタニック』のお婆さん・グロリア・スチュアートがこゝでも矢張り気品のある美しさだ。
そして、本作の特記すべき点として、黒人召使、バックの存在をあげるべきだろう。奴隷解放を唱える似非平等論者を追い払うシーンも捻ったシーンだが、何よりも獄中で彼が「嫁さんのロザベルは12人産んだ」と言うシーンのなんという複雑性。今思い出しても目頭が熱くなる。ラスト・カットは待っていたロザベルと子供達のカットなのだ。やっぱりいいなあ。てっきり一つ前のカット−バクスターが妻子と抱き合って家に入っていくカットでエンドだと思ったのに、バックとロザベルのカットで終わる、というのがもう堪らない。
#ジョン・キャラダインの部下の下士官役でフランシス・フォード。結構目立っている。また、手旗信号をする下士官はジャック・ペニックだ。監獄の所長はハリー・ケリー。
#調べてみるとロザベル役はエッタ・マクダニエルという人で『プリースト判事』や『風と共に去りぬ』のハッティ・マクダニエルのお姉さんのようだ。多分、ラストカットしか出ていないんじゃないか?
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