男は前立腺手術をした（性的な能力を持たない）老人で、女は、愛などまだ知らない少女（といったら語弊がありますか、年齢的には十代後半くらい）。

恋に落ちる瞬間のようなものは、明確に示されてなかったように思いますが、ものすごく突然に、おそらく同時に、出会った瞬間に。ロマンティックな恋愛話です。

ただ、少女の方は何度も裏切るし、自分の武器を最大限に使って、老人にプレゼントをねだったり、希望を叶えて貰ったりします。老人もみっともないくらいに、愛というか性に貪欲で、何度でも少女に歩み寄ります。で、まあちょっと、あれれ？みたいな感じなんですが、老人が死に掛けたとたん、スッと少女は寄り添い、そばに居ます。なんだ、結局、根っこのところでは、かけ引きを楽しんでいただけか。

特筆すべきは、老人（ピーター・オトゥール）が、劇中で俳優業なんですが、自分の日常と役が混ぜこぜの生活をしているキャラクターで、実生活が芝居掛かっているところですか。シェイクスピアを暗唱するなんて、役者とロマンチストだけだよ。この老人は、役者でロマンチストだったけど。