[コメント] タロットカード殺人事件(2006/英=米)
「アレン映画」としてはじゅうぶん佳作だろう。ウディ・アレンに映画的興奮を期待する者などいないのだから。話の運び自体は相当いいかげんだが、それを欠点とさせない語り口の達者さがアレンの長所であり、そのいいかげんさを演出の驚異によって映画の美点に転化するまでには至らないのがアレンの短所だ。いつものごとく。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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スカーレット・ヨハンソンは適役だろう。眼鏡を掛けたりやたら顔をしかめたり、美しさを強調しない(むしろ隠す)ことで却ってその魅力を引き出すという演出の方向性も正解だと思う。
一時的に退場した人物を再登場させる編集のタイミングは気が利いているが(たとえば、アレンとヨハンソンの音楽室脱出。ずぶ濡れヨハンソンの生還。アレンの三途の川下り)、驚かされるほどではない。驚くという言葉はむしろ、ヒュー・ジャックマンを追うアレンとヨハンソンが娼婦殺害現場近くに居合わせるシーンのドキュメンタルな空間把握に当てはまるだろう。
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