[コメント] アフリカの女王(1951/英=米)
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正直、前知識無しにこの作品を観たため、その展開の軽快さに驚かされた。題名からしてもっと重い内容かと思ってた。
この作品の魅力はなんと言ってもハンフリー=ボガートとキャサリン=ヘップバーンによる、掛け合い漫才のような会話だろう。世間知らずで身勝手なヘップバーン演じるローズに振り回されるボガート演じるチャーリー。危機に次ぐ危機と、それを何とか乗り切った後の二人の弛緩した会話はなんとも楽しい。
決して綺麗とは見えない(失礼!)ヘップバーンが我が儘勝手に振る舞うのも良いけど、やっぱりここではボガートが良い。無精髭を生やして粗野な言葉遣いをしていながらも、彼の見せる気弱な部分、そして相手を思い遣る心が仄見えて、非常に魅力的だ。こう言う男こそが理想的な男性像にも思える。
じゃじゃ馬ハイミス(これ又失礼)のローズに振り回され、それでも自分の能力の全てを使って彼女の望みを叶えようとするなんて、なかなか出来るこっちゃ無いぞ。男として生きると言う幻想を具現化してるかのようだ。
ところでボギーこと、ボガートの作品は今のところ5本程度しか観ていないので口はぼったいが、彼の魅力というのを考えてみた。
彼は確かに男臭い。だが、そこには脂ぎったところや、がっついたところがない。どんな役をしていても、常にクールに、こう言って良ければ上品に、一歩下がった所に立ち、他のキャラクターの良さを引き出そうとしているように思える。自分自身のみに目を引き付けようとするグレゴリー=ペックの対極にいるような人物だ。特に相手が女性の場合、彼と競演する事でその魅力を開花させた女性も多い(『カサブランカ』のバーグマン然り、本作のヘップバーン然り、『愛しのサブリナ』のヘップバーン(オードリーの方ね)然り)。彼の恋物語は悲恋に終わる事も多いけど、それも相手を立てようとしての事。そうやって引いた立場に自らを置きながらも、しっかりその魅力を感じさせる。
肉体的には強く、女性に対しては弱い。彼がハード・ボイルドでの主役を張れるのには、こんなところがあるからじゃないかな?
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