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[コメント] 愛の予感(2007/日)

この確信犯である実験映画は、策に溺れすぎた感はあるものの「皮肉」なことにその緊張感は突き抜けている。ヒトの感情の「芽」というミクロな瞬間を描かんが為の大胆な手法に驚愕するも、最後の最後監督自身の唄で脱力した。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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執拗な繰り返しに厭き、本作に対して怒りがふつふつと湧いてきた。だが不思議な事に画から目を離す事は出来なかった。

まさかこのままの繰り返しで終わる筈が無いじゃないかという希望的観測なのだが、男の繰り返される日常の仕草のちょっとした「違い」「変化」が何か重要なキーワードなのかも知れぬという疑心暗鬼から、ある意味変な緊張感で見つめてしまったのだ。

これは劇的な恋愛の顛末を描くのではなく、ヒトの感情の「芽」というミクロな瞬間を描こうとしたらしい。植物の芽がニョキニョキと成長する早回しの映像をよく目にすることがある。本作はその映像を早回しでなく、それをリアルなタイムスケールで撮影しようとしたのだろうか。当然、我々ヒトの目にはその微々たる成長は視認不可だろう。しかし、芽は確実に成長している筈なのだ。そしてリアルで視認不可ならば逆に超スローでの撮影なら「その瞬間」を捉えられるのではと考えたのかもしれない。

ハイスピードカメラでの映像で「ドラマ」を撮ることは物理的に不可能だ。そこで行き着いたのが本作で繰り返されたリフレイン・・・僅かなミクロな「違い」を我々は眼を凝らして見つめさせられたのだ。

PS、台詞を一切排除したのもリアルなタイムスケールでないことを表しているかのようだった。しかし、エンドクレジットで監督自らが唄ったアノ歌詞は「おしゃべり」過ぎじゃなかったか?あの「おしゃべり」な歌詞が本作のすべてを説明・解説してしまっている。

せっかく100分もの間、我慢して鑑賞し、様々な「隠された意図」を発見しようと手薬煉ひいていたのに・・・何だか肩透かしをくらったかのようで脱力しました。

(評価:★3)

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