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[コメント] ラスト、コーション(2007/米=中国=台湾=香港)

(ボソッ)この監督、やっぱり女嫌いなんじゃないか。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 まず言いたいことは、ボカシはもうやめろ(to 日本の当局)。

 映画について言うと、冒頭まっさきにヤラレタのが、頻繁な目配り(画面外への視線移動)が産むある種の警戒心で、これが同時に秘め事の露見への危惧とも重なっているわけであるから、まさにタイトルどおりで、まあ見事なものである。

 男が女を求め、女が男を求める世にありふれた感情が、人間性の真実という高みへ押し上げられている。これを支える舞台装置が戦時下の緊張感という奴で、戦時下の断片を恣意的に切り取りつつ、彩度を落した統一感のある色調と地味で静かな音楽で、上手に緊張感を作り出すことに成功している。

 だが逆に、ここで描かれているのは、極限の愛を成立させる背景としての、魔都・上海における「戦時下という状況」であるとも言える。この観点からすると、前半部で、男の性質が不明なために恋愛劇の成立が不安定だった点も問題なしとなる。

「この数年、誰の言葉も信じられなかったが、お前だけは信じられる」

この男は確かにモンスターだが、本質的にはただの臆病な男だ。この臆病さが、己の身を守るかぎりにおいて、彼は大胆になれる。戦争という特異な状況が産んだモンスターなのである。

 日本料亭で、まだ他の部屋からは宴会の歓声が伝わる中、麦夫人(タン・ウェイ)が、ただ易先生(トニー・レオン)のためだけに、「天涯歌女」を歌って聞かせるシーンが、人生のこの上ない贅沢を感じさせてくれて、印象に残る。

85/100(08/03/09記)

※俺だったら、交通規制で足止めを食らったタン・ウェイが、服に縫い付けられた?薬を取り出したあのシーンで、迷うことなく自死を遂げさせてやるけどな。そうさせなかった理由は、映画の中からはわからない。

(評価:★4)

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