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[コメント] 僕の彼女はどこ?(1952/米)

終盤、豪邸の大きな窓の外に雪が降る。ダグラス・サークで大きな窓と雪、と云えば、『天はすべて許し給う』を思い出すが、本作の雪の美しさも特記しなければいけないだろう。
ゑぎ

 これは素晴らしい。オープンセットだろうか、見事なスモールタウンの造型だ。秋から冬にかけての物語なので、最初はどのカットでも落葉と枯葉の舞っている様子が映り、ラストはクリスマスの雪のシーンとなる。そんな中で1920年代の風俗が、ため息の出るほど美しいカラー撮影で描かれる。

 チャールズ・コバーンが、純然たる主役で大富豪の役。若かりし日に振られた女性の近親者へ、遺産の一部を与える話。失恋相手の娘がリン・バリで、そのまた娘が、パイパー・ローリーと子役のジジ・ペルー。リン・バリの夫は、薬局兼ソーダ屋(ソーダファウンテンのあるファーマシー)をやっており、店員がロック・ハドソン、というのが主要キャスト。コバーンに懐いたジジ・ペルーが激しく可愛い。パイパー・ローリーもデビー・レイノルズのような可愛いらしさで、この人が『キャリー』(1976)のお母さんになるとはとても思えない。

 薬局の最初のシーンで、ミュージカル処理がある。若者達がギターを弾きながら唄う、という設定。こゝで、端役時代のジェームズ・ディーンのカットがワンカットある。これは、はっきり分かります。また、リン・バリが家事をしながら唄う場面もミュージカル処理だし、コバーンとジジと二人でチャールストンダンスをするシーンが2回あり、これがもう究極に可愛い幸福なシーンとなっているのだ。

 本作は、一言で云えば、お金をめぐる、現実離れしたお伽噺だが、ステレオタイプな金持ちの既成概念の描き方がアイロニカルで面白い。金持ちになったら、大邸宅に住まないといけないとか、毛皮のコートを着るとか、フレンチプードルを飼うとか。また、リン・バリとハドソンの二人がかなり単純なキャラ造型で、立場の違いを体現するのだが、いずれも、ラストでは手のひらを返したように寛容さを示す。そこも含めて、お伽噺として素晴らしい。

(評価:★5)

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